京美同活動ノート

京大美少女ゲーム同好会のブログです。週1より早いペースでの更新が目標です

【3日目】「時計仕掛けのレイライン」をやれば、人生がもっと豊かになります。

この記事は、新歓ブログリレーの3日目担当です。
筆者: ふぁぼん





頭が良くて凛としててそっけない美少女と出会って初対面ではなんか気が合わないなとか思いつつたまに見せる意外な一面に好感度上がったり妙なところで気が合ったりで徐々に距離を縮めて最終的にイチャイチャしたり一見そっけない彼女の分かりづらいけど可愛いデレに悶えたりしたい。

丁寧に構築された良質なミステリと物語を摂取したい。


そんな人類共通の願望を100%完璧に叶えてくれるエロゲが存在すると言ったら、みなさんは驚きと歓喜のあまり絶句してひっくり返ってしまうでしょう(物理的に)。


そのゲームの名は「時計仕掛けのレイライン」。魔術が存在する学園で起こる問題を解決していくミステリです。



※この記事にネタバレは含まれていません。ご安心ください。

概要

時計仕掛けのレイライン」シリーズは、「黄昏時の境界線」「残影の夜が明ける時」「朝霧に散る花」の三部作です。この順番にやってください。
また、3本がまとまっているコンシューマー版(全年齢)に外伝の「陽炎に彷徨う魔女」が収録されています。

こういうゲームの常ですが、ネタバレは見ないでくださいWikipediaも敵です。
2作目・3作目のOPにも前作のネタバレがあるので、見ない方がいいです。今見返したら思ったよりガッツリ載ってました。特に3作目。まあ音楽を聴くだけならセーフ。

入手

FANZAなどのサイトで500円セールをそこそこの頻度でやっています。3本で合計1500円、この価格はあまりに魅力的です。なので、セールを待って買ってもいいんじゃないでしょうか。

私はせっかく人生初のエロゲだからと、サウンドトラック付きのパッケージ版を(中古で)買いましたが。

公式サイト

unisonshift.amusecraft.com

あらすじ

山奥にそびえたつ大きな時計塔のある全寮制学園に新入生としてやってきた主人公。
しかし、初登校の日にいきなりトラブルに巻き込まれ、学園の入り口にある高価そうな像を壊してしまう。
学園長から、弁償の代わりにしばらく働けと指示された主人公は、トラブルの原因となった一人の男子生徒と共に『特殊事案調査分室』に配属されることに。
大きな地下図書館の奥にある分室の部屋に行ってみると、そこには無関心な様子で一人の少女が待っていた。
わけもわからないまま、二人は少女から告げられる。
この学園では、本物の魔術が生きているのだ——と。
時計塔の鐘の音と共に、学園には『夜の世界』が現れ、校舎と一体化するのであると。
分室の仕事は、学園で起こるあらゆる魔術的な問題を解決すること。
こうして主人公たちは、様々な『遺品(ミスト)』に翻弄されながらも学園のために奔走することになるのだが——。


ちなみに、遺品(ミスト)というのは魔術道具のことです。

システム面

基本的にメインヒロインの鹿ケ谷(ししがたに)憂緒(うしお)さんルートで一本道、そこから各サブヒロインのルートが分岐する形です。正直、サブルートはおまけみたいなもんですね。

推理シーンの選択肢の正答率とコアの(どう見ても好感度に影響しそうな)選択肢で分岐していそうな雰囲気でした。とりあえず、推理に全問正解した上で憂緒ルートっぽい選択肢を選んでいれば本筋は全部見れます。サブルートは最悪攻略サイトに頼ってもいいでしょう。サブルートを先にやるか後にやるかはお好みですが、本筋の完成度の高さを考えると、先にやった方がいい気もします。


それと、タイトル画面からおまけHシーンが見れます。ラストの3作目にはおまけシナリオもあります。
「おまけ」と言いつつ、そちらでしか回収できないCGなどもあります。回収率100%じゃないと気が済まない人は注意しましょう。

物語の構造とミステリオタク向け布教

魔術といっても、決して「なんでもあり」ではありません。どれくらいの魔力が必要か、魔力が足りないときの代償は何か、遺品(ミスト)の効果は何か、どういう条件で発動するのか。そういった設定がきっちり決まっています。だからこそ、魔法を取り入れつつミステリとして成立させられるのです。

つまり、「時計仕掛けのレイライン」は、昨今流行している「特殊設定ミステリ」の1つだと言えるでしょう。
「魔法のある世界のミステリ」にまで絞っても、たとえば米澤穂信「折れた竜骨」などの有名作があります。あと、連れカノや「僕が答える君の謎解き」で有名な紙城境介先生のデビュー作は「ウィッチハント・カーテンコール」という作品なんですが、こちらも魔法ミステリです(趣味がバレる)。


ミステリの名物といえば「読者への挑戦」ですが、この作品はノベルゲームという形式を十全に活かし、主人公の推理を選択肢で選ばせるようになっています。その正答率次第で分岐が変わったり(記憶が確かなら)、ゲーム最後の「結果発表」が変わったりします。全問正解すると評価SSSとなり、ご褒美CG+おまけ壁紙が手に入る仕様です。逆に、全問不正解すると、鹿ケ谷憂緒さんに蔑まれるご褒美壁紙をゲットできたりします。どっちに転んでも美味しいですね。


「なんちゃって」ではなくきっちりミステリしている本作ですが、古今東西のミステリと同様、探偵役のメインヒロインの存在がとても大きいです。

メインヒロインの鹿ケ谷憂緒さんは頭が良くて思考がとことんロジカルです。彼女の語りとともに事件の全貌が少しずつ、どこまでも論理的に紐解かれます。さまざまな場所に張り巡らされた伏線を回収し、真実に到達するそのプロセスは、ミステリのオタクならば誰もが欲してやまない快感を確実に与えてくれるでしょう。


ミステリオタクの大好物といえば、他にはどんでん返しや驚愕のトリックなどもありますね。むろんミステリはジャンルの性質上読者に依存する部分がとても大きいのですが、少なくとも私がプレイした限りでは「どんでん返しはちゃんとすごいしトリックはきっちり盲点を突いてて最高」という感じでした。何気ない一言が全て反転するあの衝撃ですよ。



ただ、少し難点があるとすれば、面白くなるのが遅いという点です。もちろん、序盤から事件が起こって推理・解決する流れを何回も体感するわけですが、序盤は——全部ではないものの——謎が小粒で、やや魅力に欠けます。
1作目はミステリとしては少し弱く、どちらかというとキャラやラブコメの面白さで読ませているという側面が強いです。1作目ラストの種明かしはけっこう好きですけどね。


それでも、2作目のクライマックスからの瞬間風速はすさまじいものがあります。本当に、そこから3作目の最後まではノンストップでやってもいいくらいです。たぶん15時間か20時間くらいだと思います。3作目は頭脳バトル要素が入ってきて、そういうのが好きな人にもオススメできる作品になっています。

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ここから怒涛の伏線回収


頭が良くて諦めの悪いクール美少女が己の頭脳と仲間を頼りに、何度でも立ち上がってピンチに立ち向かう。たとえ、その結果受け入れがたい真実が明らかになったとしても——

こんなの、嫌いな人がいるわけないじゃないですか。います? いないですよね。




ちなみに、「うーん、ここ変じゃない? ご都合主義?」ってポイントは100%でないにしろ後で割と回収されます(経験談)。

ギャルゲ/ラブコメオタク向け布教

メインヒロインが、かわいい。



もうこれで十分じゃないですかね。
1作目からベタにベッタベタなラブコメが展開されており、さすがの私も五体投地してライター様を拝み倒してしまいました。
事件を通じて徐々に好感度が上がっていく展開とか、もう古典的なラブコメのそれですからね。マジックアイテムをフル活用した「手錠が外れない」「キスで元に戻る変身」「体の入れ替わり」などのシチュエーションがてんこ盛りです。

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ジト目……(遺言)

天才クール美少女ヒロイン愛好家の私も大満足*1。初めはそっけない彼女との距離が徐々に縮まっていく描写だけで寿命が100年伸びます。頭脳明晰冷静沈着完全無欠状態と顔真っ赤ダダ甘状態が一瞬で切り替わるのがもうたまりません。前者から後者は言わずもがなですが、なんとこの作品では後者から前者に切り替わるシーンまで堪能できてしまいます。顔真っ赤で照れてたヒロインが何かに気付いて一瞬で真剣な顔になる、これでこそ頭脳派ヒロインというものです。あと黒タイツ

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芯の強さも魅力的です


あと、親友枠のおまる(烏丸小太郎)のキャラがいいんですよ。メインヒロインと主人公がどちらかというと主張の強いタイプなので、まっすぐ純真な彼の存在がいい感じに潤滑油になっています。それでいてきっちり怒るときは怒る、仕事するときは仕事する。もう完璧ですね。

ただの名脇役と思うなかれ、ヒロインじゃないだけで文句なしのメインキャラクターですので。きっちり見せ場も用意されています。おまるファンは安心してください。




おまるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! (魂の叫び)



ちゃんと大団円、ハッピーエンドで完結します。泣きゲーという雰囲気ではないにしろ、ちゃんと「いい話」になっています。安心してください。軽く泣けますね。


まとめ

全人類、「時計仕掛けのレイライン」を、やれ。

私の人生初エロゲは本作品だったのですが、これは間違いなくふさわしい選択だったと自信を持って言えます。


こちらからは以上です。

*1:参考までに、私の個人ブログのタイトルは「天才クールスレンダー美少女になりたい」です。異常者?