【8日目】美少女ゲームの楽しみ方~非R18の範囲を攻めろ~
この記事は、新歓ブログリレー8日目のものとして書かれました。
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0)はじめに
京大の学部新入生の皆様、合格&ご入学おめでとうございます! 現在修士2回の「葛城雪華」です。(Twitter : ArisaGX1124)
新入生の中には美少女ゲームに興味を持った方がいると聞いたので、新入生向けのリレー記事を1本書くことになったのですが……
一口に「美少女ゲーム」と言っても、何をどう楽しめばいいのか……最初のうちはわからない、という方もいるかもしれませんね。
今回は私が美少女ゲームを楽しむにあたって『えっちシーン以外での』楽しみ方について、大雑把にご紹介しようと思います。
そもそもここに来た皆さんは「可愛い女の子に興味がある」けど、「女の子だけじゃ物足りない」「現実では実現できない理想郷がほしい」といった感じの目的意識を持っていたり、あるいはそうではなく誘われたり、動画か何かに惹かれたりで漫然とこちらの世界に流れ着いたり……いろいろな経緯があることでしょう。
そうしてやってきたブログ読者の皆さんには良い意味で「何を楽しめばいいのか?」という疑問が生まれているはずです。
美少女ゲームの多くが性的表現でR18指定されているので、(特に現役合格生は)レーティング制限が解除されたばかりのえっちシーンを目当てにしたいと思うかもしれない。
しかし、美少女ゲームの世界はもっと懐の奥深いものです。
一言で美少女ゲームと言っても、何を目的に作られているか?によって…
・抜きゲー(エロ目当てに振り切っているもの)
・バカゲー(ただただ笑いに振り切っているもの)
・シナリオゲー(立ち絵・ボイス付きの小説みたいなもの)
・キャラゲー(各キャラの属性を楽しむもの)
……などの大雑把なジャンル分けがあり、更にこれらのジャンルが複合している作品も多数あります。
そんな中、純粋にエロ目当てで使えるのは「抜きゲー」ぐらいしかなく、選択肢も(変な意味で)限られてしまうのです。
加えて、美少女ゲーマーの間で抜きゲーが話題になることもそこまで多くない……となると、先の疑問に連なる形で新たな疑問が生まれることでしょう。
「美少女ゲーマーは、美少女ゲームにおいて、エロ以外に何か楽しみ方があるのか?」
結論から言い切ってしまいます。
答えは『絶対的にYes』です。
美少女ゲームと言う言い方が(長ったらしいし通りが悪いので)浸透せず、ギャルゲー・エロゲと呼ばれ続けるために分かりづらいですが、美少女ゲームには、エロ以外の楽しみ方だってもちろんあります。
シナリオゲーなんかはその一種でもあるのですが、今回は
・性的表現
・シナリオ
の2つを封印しても楽しめる、美少女ゲームの楽しみ方をご紹介したいと思います。
1)イラスト
美少女ゲームとあるぐらいなので、多くの場合はかわいいキャラデザに惹かれて興味を持ってしまうもの。ジャケ買い……良いですね。
確かにイラストのかわいさ・かっこよさは構成要素の中でも重要です。そのイラストを選ぶためにまず参考にされるのはイラストレーター(絵師)さんです。
しかし、絵師さんも覚えきれないほど多数、更に作品も年代違いで多数存在するのです。絵師さんによっては年代が違うと同じ人であっても絵柄が大きく変わることも……そんな中から、好みの絵柄を見つけるにはどうすればいいのか?
・まずパッケージデザインを『たくさん』見ます。
・次に、気に入ったデザインのものをピックアップします。
・最後に、公式から出ているCGを『たくさん』見て、特に好きな作品を選びます。
アバウト過ぎますが、絵柄の好みは人それぞれで、他人の感性を頼れるとは限らないので、私はこうしています。こうすることでも、単にオススメや名作だけを選んでいくよりは自分らしい選び方・楽しみ方を開拓できるはずです。
参考までに、私のおすすめする絵師さんによる作品を何点かご紹介します。
恋想リレーション
(2015年:萌木原ふみたけ先生・ななろば華先生)
→萌木原ふみたけ先生の作画の雰囲気は2010年頃を境にガラッと変わった印象が。他の作品も見比べると案外「この年代の作画が好き!」ってものが見つかるかもしれません。
彼女のセイイキ
(2014年:涼香先生)
→涼香先生は割と画風が変わらない印象が。
お兄ちゃん、右手の使用を禁止します!
(2014年:ひさまくまこ先生・K子先生)
→ひさまくまこ先生、K子先生は共にここ最近の作画とかなり違うので見比べてみるのもあり。意外にも「かっこいい」系の作品もあったり……?
2)音楽
見た目とR18により見落とされがちですが、音楽も重要なんですよね、これが。
序盤で流れるOP曲、終盤で流れるED曲はもちろん、作中の挿入歌やBGMまで…1本の作品の20曲ぐらい使われているかと思います。
流石に作中挿入歌やED曲は公開されていないことが 圧 倒 的 に 多いですが、一部作品のBGMは公式のYouTubeチャンネルで公開されてたりします。
△「Welcome to Café Carroll」
どうでしょう?いかにも「お洒落で落ち着いたカフェ」という雰囲気が伝わってくるでしょう。普通にマチナカのカフェで掛かっていてもおかしくない感じだと思いますし、この物語の舞台に喫茶店が含まれることも容易に想像できるでしょう。
ここで同じ作品からもう1曲。
△「ハイテンションな暴走まっしぐら」
今度は「音だけで」何やら騒がしい雰囲気を感じさせますね。
ほとんどの場面でこのようにBGMが流れます(うるさいと思ったら設定で音量調整もできます)。
このようなBGMが日常シーンでも場面描写に一役買っており、何なら現実と同じようなシーンでも、BGMがあることで雰囲気が更に強調されるのです。
また、BGMがあることにより「無音」が強調され、音が途切れるシーンに強い意味をもたせることができるのです。
ただ、BGMに関しては作品をやっている中で少しずつわかるもの。そんな中で、イラストと並んで最も早く(何なら新作発売前から)わかるものに、OP曲があります。
『エロゲーのOP曲なんてどうせ電波系とかキャピキャピ系だろ?』
そう思うのも無理はないでしょう。
そこで一曲、こちらをお聴き下さい。
▲アカリノアリカ
先入観を払拭すべくかっこよさに振ってみました。素で流しても初聴でこれが美少女ゲームのOP曲だとわかる人はおそらくいないでしょう。
続いてもう一曲。
▲Graceful Anomaly
今度は先程と同じメーカーさんの、別作品から。美少女ゲーム、オタクソングのイメージらしい仕上がりかと。
メーカーを変えて更にもう一曲いきましょう。
▲Mask
(※動画に年齢制限あり)
今度は若干暗め、落ち着いていながらも欲望に塗れた雰囲気ですね。
他にもこんなものもあります。
▲Magical Marriage March
この曲はもともと存在していた結婚行進曲を組み合わせたものになっています。本当に絶妙な組み合わせに。
……いやまだまだこれでも氷山の一角、更にその一欠片なんですよ?
ここまで同一ジャンルに基づいてガラッと変わるのも、美少女ゲームOP曲の特徴だと言えるでしょう。
私もPVで流れるOP曲をきっかけに美少女ゲームの存在を知った身、それ故に美少女ゲームOP曲の素晴らしさを、ぜひとも現実の日常生活にも取り入れたいものです。詳細は色々ありますが、あまりにも長くなりすぎるので別の回で。
ここまでは『買わずにわかる』『感覚的にわかる』「非R18部分」の魅力を紹介してきました。
ここからは少しレベルを上げ、『やらないとわからない』「非R18部分」として、作中の世界観を現実と比較することにも少し触れましょう。
3)現実をモデルにした描写
ここでいう現実とは、実体を伴った存在(建物や地形)にとどまらず、文化的背景を指します。実体的存在だけなら、わざわざここで取り上げずとも【聖地巡礼】といった形で広まっていますので。
私は文化的背景と申し上げましたが、この概念は数多くのものが含まれ、そして多くの場合、人から人へ伝わる、物理的実体を伴わないものでもあります。
食文化・言語(方言)・行事など……
現実の人間が生み出した作品であるが故に、非現実の世界といえど現実世界をモデルにした表現が否応なしに生まれる。
そうです。「非現実の世界を楽しむ」現実世界の文化としての、美少女ゲームの存在です。画面の向こうの非現実と、こちら側の現実はリンクしているのです。
それ故、現実世界で大きな出来事が起これば、当然非現実を表現した美少女ゲームの描写にも(全ての作品に当てはまる訳ではありませんが)現実の世界観が持ち越されることになります。
非現実に滲み出る現実に思いを馳せ、現実との繋がりを見出す。こうすることで今度はモデルとなった現実世界の文化理解のための起点作りをすることもできます。
更に、現実世界を理解できるようになれば非現実の美少女ゲームをもう一段深く考察できる。結果、雪だるま式に知識を蓄えることができる。そうして蓄えた知識は現実世界の理解にはもちろん、ゲーム作品の背景や意味をより広く、深く考察することにも役立ちます。
(正しい)知識はいくらあっても足りないぐらいですから、どうせなら楽しい方法で学習したいところ。人文系の学習の起点にしたり、教養を深めることができる可能性は大いにあります(※ニセ情報には気をつけましょう)。
少々強引な論法かもしれませんが、敢えて現実とリンクさせて考察・議論するのも楽しみ方としては有りなのではないか?と思います。
X)おわりに
以上、3点について、一部は具体例を挙げつつ大雑把に解説してみました。
他にも「ぶっ飛んだ世界観・キャラ設定」など紹介したい点は尽きませんが、今回は敢えてシナリオの領域に触れることは避けました(それにシナリオについてはゲームごとに他の皆さんが散々語ってくれることでしょう)。
ただ、R18シーン以外でもかなり楽しめることがわかって頂けたかと思います。
美少女ゲームの感じ方は人それぞれ。この世に存在する美少女ゲームのどれか1本でも、興味を持って、好きになってもらえれば、幸いです。