この記事は、新歓ブログリレー27日目のものとして書かれました。他の新歓ブログはこちらからご覧ください。
1. はじめに
はじめまして。本日のブログを担当いたします、侍店長(Twitter: @yatuhasidaigaku)です。
自己紹介
神戸大学法学部法律学科卒→一橋大学大学院言語社会研究科修士課程二年生
専門はオタク文化論(エロゲ)、表象文化論、社会学。東京大学大学院博士後期課程を目指し勉強中。
京大美少女ゲーム同好会に所属し、コラムを担当することになりました。
研究の立場、クリエイターとしての立場、消費者としての立場いずれから論ずるべきか迷いましたが、新人としてざっくばらんに語ろうと思います。
2. 私とエロゲ
今でこそ大学院生の立場というものがありますが、かつては勉強ができない落ちこぼれでした。そんな私を勇気づけてくれたのが、エロゲでした。
エロゲは人々をエンパワーメントし、人々の生きる意味となる、という立場で今もエロゲをプレイしています。
3. エロゲの表現の変化
今も昔も萌えゲー、抜きゲー、シナリオゲーという大きな枠組みはあまり変わっていないように思えます。
キャラクターは厚塗りのギャルゲー塗りから、透明感や綺麗さを重視したソシャゲ塗りへと変化しましたし、紙芝居にスクリプトや表情の変化の多様性を重視する萌えゲーやシナリオゲーが増加したという変化はあります。
萌えゲーで覇権をとりつつあるゆずソフトの『喫茶ステラと死神の蝶』では、一つの立ち絵ごとに表情変化の差分が多く、テキストよりもキャラクターの表情で直接ユーザーに訴えかけるという手法が強調されていました。
デビュー作の『ぶらばん』では、可愛いキャラクターと薄いシナリオの作品だとしか思いませんでしたが、今作では四季ナツメを筆頭に、表情の変化だけでもユーザーをわくわくさせると思いました。
シナリオゲーでは、タイプムーンの『魔法使いの夜』(18禁ではありませんが)で、紙芝居からの脱却の手段としてスクリプト、演出が用いられました。映画の技法でもあるクロスカッティングなど、演出に力を入れることで表現の幅を用いていた印象です。
他にも、クロックアップは紙芝居ベースではありますが、グロ、エロ、ホラーなど、アニメやゲームでは表現できないエロティズムに特化しています。
『ユーフォリア』『フラテルニテ』『マゴットベイツ』以降、『エレホン』に至るまでエロとグロを活かした大人の物語は、批評空間でも一定の評価を得ています。
システム面では、古くは『臭作』、『YUNO』からあったメタ的視点を『ドキドキ文芸部』や『君と彼女と彼女の恋』など、メタ的な構造、視点をシステムに取り入れるというやり方も変化の一つと言えるでしょう。
いずれにせよ、紙芝居を基礎としつつも表現に幅をもたせるために、立ち絵、シナリオ、スクリプト、システムいずれかを強化しなければ、エロゲ市場で生き残ることが難しいと考えます。
4. おわりに
最初のコラムですので、あまり長くしすぎずこの辺で切り上げたいと思います。
同人サークルエイミーソフトで、『ファムファタール』という作品の企画、シナリオ、スクリプトを担当しています。販売後ご縁があれば、プレイしていただけると嬉しく思います。