はじめに
こんにちは。千里(@yukko_mnhy)と申します。
(一部協力を除けば)記事を書かせていただくのは初めてなので、軽く自己紹介を。
現在大学2年で、触れた作品も30本ほどとまだまだ新参者です。。。。
18禁として初めて触った作品は『9-nine-』シリーズで、ハンネは『Rewrite』の千里朱音から取っています。
今回の記事ですが、タイトル通りエロゲの「キャラゲー」「シナリオゲー」について触れていきます。
主観がかなり多めの記事となりますので、ご容赦ください。
定義
そもそも「キャラゲー」「シナリオゲー」とは何でしょうか。
これはどこかのメーカーが公言しているものでも何でもなく、エロゲーマーが勝手に言い出したものに過ぎません。また、明確な定義なども存在しない、あやふやな概念というわけです。
そのため人によって解釈は異なりますが、本稿では便宜上、一般論として浸透している意味合いを自分なりに解釈して定義しておきます。
キャラゲー
まず「キャラゲー」について。
読んで字の如く「キャラの可愛さに重点を置いたゲーム」です。
具体的には、エロゲがキャラの可愛さを追求しているのは当然として、その中でも基本的に明るめの雰囲気で、ヒロインとの何気ない日常でのイチャラブに重点を置いたものです。
代表的なもので言えばやはりゆずソフトの作品でしょうか。
とりあえず同ブランドから『RIDDLE JOKER』の在原七海を挙げてみます。
ゲームは知らなくてもこのヒロインの名前は知っている、という人も少なからずいるのではないでしょうか。
先日、同ヒロインのASMRの発売発表も大きな反響を呼びましたし、多くのエロゲーマーが虜にされていることは間違いないでしょう。
キャラゲーと言われるだけのことはあり、日常パートやHシーンなど、ヒロインの魅力が溢れ出る構成となっています。
他にも挙げるなら『サノバウィッチ』のオナ地さんこと綾地寧々や、『喫茶ステラと死神の蝶』の四季ナツメ(こちらは他の方の記事でも触れられています)なども、知名度が独り歩き……とまでは行かないものの、相当な人気を誇っています。
この人気も、キャラゲーたる所以でしょう。
また、キャラゲーにはヒロインのアフターストーリーが用意されていることが多く、余す所なくヒロインの魅力を味わえるようになっています。
シナリオゲー
次は「シナリオゲー」。
こちらもそのまんま、「物語の構成(=シナリオ)に重点を置いたゲーム」です。
だからといってキャラクターが適当かと言われればそういう訳でもなく、あくまでキャラゲーと比べたらシナリオを売りにしている割合が大きいということです。
こちらはケロQの『素晴らしき日々〜不連続存在〜』を挙げておきましょう。
本作はウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』といった哲学や、エドモン・ロスタンの戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』など、様々な要素が織り交ぜられたシナリオとなっており、その複雑さと完成度から萌えゲーアワード2010ではシナリオ賞部門で金賞を受賞しました。
その一方で、Hシーンは輪姦や麻薬、ふたなりといった、正直言って人を選ぶ表現も数多く見受けられます。
このように、作品によって方向性は違えど、純粋にヒロインの可愛さを伝えるよりもシナリオの完成度で勝負、というのがシナリオゲーというわけです。
呼び分ける利点
キャラゲー・シナリオゲーとして作品を呼び分ける利点としては、やはり自分の好みに合った作品が見つけやすいということでしょう。
とにかく可愛い子が出てくるゲームがしたいけど、あんまりゴチャゴチャしたシナリオは疲れるから好きじゃないな〜と言う人はキャラゲーをやれば良いし、逆にキャラの可愛さはそこまで求めないから単純に読み物として楽しみたい!という人はシナリオゲーをやれば良いわけです。
また、自分がキャラゲー派かシナリオゲー派か、という立場を明らかにしておけば周囲の人が作品を薦めやすい上、ブランドによっても作風がキャラゲーかシナリオゲーかで分かれるので、自分自身も推しのブランドが見つかるかもしれません。
問題点
では、本稿のメインテーマとなる問題点です。
一言で言うと「キャラゲーは評価が低くなりがち」という点に尽きます。
では、いきなりですが名作と言われるエロゲを適当に挙げてみましょう。ここでの"名作"の一応の定義は批評空間での評価数が500件以上かつ85点を超えているものとします。
まずは本ブログでも幾度となく登場している『WHITE ALBUM2』。
浮気と三角関係をテーマに主人公・北原春希を取り巻く女性関係を描く、言わずと知れた丸戸史明先生の傑作です。
closing chapterの評価数は2400件近く、中央値は驚異の94点。
これなんかは文句無しにシナリオゲーですね。100人いたら100人シナリオゲーと答えるでしょう。
続いては『サクラノ詩-櫻の森の上を舞う-』。
またケロQ枕系列でごめんなさい(好きなので)。
哲学要素を残しつつも、芸術を軸にストーリーが展開される正統派シナリオゲーです。
ただ、個人的な話にはなるのですがこの作品に関しては一人一人のキャラもキャラゲーと遜色無いくらい好きです。それでも一般的に見るとキャラゲー・シナリオゲーの判断基準がシナリオの傾向・完成度に依存してしまっている節があるので、やはりシナリオゲーということになります。
他にも挙げるなら『CROSS†CHANNEL』や『装甲悪鬼村正』や『車輪の国、向日葵の少女』など……挙げていたらキリがありませんが、これらは全てシナリオゲーに分類されるゲームです。
逆に、キャラゲーと称されるゲームの評価も大方調べてみましたが、85点が関の山で、90点を超える作品はほぼ確認できませんでした。
このように、名作と呼ばれる作品の多くはシナリオゲーであり、キャラゲーはシナリオゲーに比べて高く評価され辛いということです。
高く評価されるゲームは「キャラゲー」に分類されることが少ない、と言ったほうが良いでしょうか。
ここで言いたいのは、「"キャラゲー"を作品を貶めるための言葉として使ってほしくない」ということです。
先述した通り、キャラゲーは高い評価がされ辛いため、ある程度本数をこなしたシナリオ厨のようなエロゲーマーの中には「キャラゲーは初心者がやるシナリオの薄っぺらいゲーム」のように、否定的な意味合いで「キャラゲー」という言葉を引き合いに出す人が残念なことに一定数存在します。
確かに、キャラゲーと呼ばれる作品はシナリオゲーに比べるとシナリオの規模は劣ってしまうかもしれません。
しかし、キャラゲーのシナリオはヒロインの魅力を最大限伝えるためのバランスが考えられており、何気ない日常のやり取りをふんだんに描いた、キャラゲーならではの魅力があります。
先程はキャラゲーの例としてゆずソフトを挙げましたが、これにすば日々のような哲学や鬱要素、電波などが入ったらどうでしょうか。
とてもじゃないですがヒロインに没頭なんてできないですよね。
キャラゲーは難しいことを考えずヒロインとイチャイチャできることが最大の魅力であり、それを計算に入れた上でのシナリオだということを忘れてはなりません。作品には作品に合ったシナリオの在り方があるというものです。
どう扱うべきか
個人的にはキャラゲーとシナリオゲーの評価を別ベクトルにすべきだと思います。
あまり触れていませんでしたが、キャラゲーから得られる満足感とシナリオゲーから得られる満足感って異なりますよね。
それを同一基準で評価するとなるとどうしても差が生じてしまうわけで。
そのため、安直な感覚で評価をするのではなく、この作品はキャラゲーとして何点、この作品はシナリオゲーとして何点、という風に分けてあげるとより公正な評価に繋がるのでは、と思います。
おわりに
個人的には、単なる区別としてならキャラゲー・シナリオゲーと呼び分けたほうが分かりやすいし、触るにしても好きな作品を触っていけば良いと思います。
ただ、「キャラゲーだから」「シナリオゲーだから」と言って敬遠するのが勿体ないというだけで。お互いに良さはありますので、食わず嫌いせず色んなゲームを触ってみると、思わぬ作品との出会いがあるかもしれません。