初めましての人は初めまして、初めてじゃない人には初めません。みやこそふとBGM担当の大佐(@taisa22670658)です。
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みやこそふとブログリレーももう第5弾ですね。そろそろ折り返しです。今回の記事では、主にBGMについての小話や制作裏話などを書きたいと思います。
目次
BGM担当という役回りの話
美少女ゲームはイラストやシナリオや演出、そして音楽と、様々な要素によって構成されています。さて、いきなり暗い話で申し訳ないですが、諸般の事情でどれかを切るとしたら、どれが最初に切られるでしょうか?
イラストとシナリオは作品の核となる部分ですから外せませんし、演出(スクリプト)をやる人がいなかったらゲームではなく画集になってしまいますから、これらはサークル内でやるにせよ外注するにせよ、当然必要になってきます。
主題歌に関しては、作ると決めたなら作品にあった歌詞をつけないといけませんから、特殊な場合を除いて新しく作る必要があります。
そして残ったBGMですが……そうです、こいつだけフリー素材でなんとかなってしまうんです。
スクリプターのえとぺんさんが下の記事で、「フリーBGMだと微妙にイメージが合わないことがあるが、『電カル』はすべて自家製なので安心」という旨のことを言ってくれてますが(ありがたいことです)、僕がフリー素材より合ったものが作れるかどうかは別問題なんですよね。
そういう訳で、みやこそふとでの私の活動は、自分の仕事がなくなる恐怖感と共にスタートしました。実際、すごい最初の方の会議ですけど「じゃあ大佐さんには3曲くらい作ってもらって、あとはフリー素材で……」みたいな話がでましたからね。BGM担当としては冷や汗ものでした。
ティザーのBGMの話
そうして不安と期待を抱えながら最初に作ったのが、ティザーのBGMです。
【タイトル発表】 pic.twitter.com/rSf5xXzxVD
— みやこそふと『電子カルテと木曜日』公式 (@MiyakoSoft) August 4, 2022
大佐名義としては、これが表に出てる唯一の曲のはずです。2022年10月現在、4500再生くらい回っていて、おそらく自分史上もっとも聞かれた曲だと思います。弱小DTMerなので、こんなに聞かれたら目を回してしまいます。まあ、BGMの存在に気づいていない人も結構いたらしいので、実際に聞かれた回数は結構少ないと思いますが。
さて、このティザーの曲ですが、実はもともと2分くらいの曲です。悲しい曲調で、OP曲のピアノアレンジみたいな曲が欲しい、と企画会議で言われて一晩で作りました。Youjyoさんがこんなツイートをしてくれましたが、それがこの曲でした。
一晩で2分間のラフ音源を作ってくれました(1週間くらいの想定だったのに……) https://t.co/h37isHSvl1 pic.twitter.com/x02YuFcLbF
— 幼女と葉序を愛する生物学徒@『電カル』制作中 (@Youjyo_Biology) June 28, 2022
実際この曲は急いで作りました。なんなら会議中に上げようかと画策していたくらいに。前述のとおり一番最初に切られるのはBGMなので、自分の存在感を示しておかないと、いつかリストラされるんじゃないかと思っていたからです(注:若干誇張してます)。
一晩で作ったはいいものの、実はあんまり気に入っていませんでした。でも、とりあえず共有したらみやこそふとの皆の評判が良かったので、なんだかいい曲に聞こえてきました。チョロいですね。こうして、没予定だった曲が、今では重要なシーンに使われる予定の曲になっています。
そうして没を免れたBGMがタイトル発表ムービーに使われたわけですが、そのことを当日まで私は知りませんでした。というのも、若野色さんがムービーを作ってきたのが当日16時(ツイート予定は19時)で、それまではタイトル発表に動画が付く予定すらなかったからです。突然すてきな動画に自分の曲が付いたものが上がってきて、なんだか感動してしまいました。
しかし、動画の第一稿では、若野色さんが音声ファイルを編集して、原曲のイントロとアウトロを無理やり繋げていたので、どうしても違和感がありました。そこで、時間はないけどいっそアウトロだけ動画用に作り直そう! と思って作り直したのですが、リテイクを食らってしまいました。そこで作り直したところ、なんと再びリテイク。
結局、MIDIを編集して最初の音源を再現したものが採用されました。色々試行錯誤した結果、最初が一番よかったってこと、たまにありますよね。ともかく、時間に追われる緊迫感はなかなか面白かったです(笑)。
他のBGMの話
少しティザーのBGMについて書きすぎてしまったかもしれません。それ以外のBGMの話もしていこうと思います。他のサークルなどではどうなっているか分かりませんが、みやこそふとではこんな感じに発注が来ました。
一番上だけはなずしろさんの担当で、あとは自分の担当です。
これを見ると、結構9-nine-シリーズの曲が参考曲として挙がっています。私は発注が来る前からそれを予測してサントラを聞きこんでいたので、それなりに上手く対応できたんじゃないかと思います。
よく「クリエイターは他人の作品を大量に摂取しないといけない」みたいなことが言われますが、これは実力をつけるため、という理由もさることながら、発注に対応するため、という現実的な理由もあるんです。
さて、発注を受けて実際に作っていくわけですが、下の3曲は重要シーンの曲だったので、肩慣らしの意味合いも込めて上から順に作っていくことにしました。
そして、その3曲を作る前にはプロットを読み直したり、すでに上がっているシナリオを読んだりして、物語のイメージに合った曲が作れるように頑張りました。
本当はそれこそ1曲づつ解説とか裏話とかを入れていきたいところですが、まだ出せる情報が少ないので、それはまたの機会に。個人的には、サントラにライナーノーツとかつけられると嬉しいですね。
ところで、BGMの中で一番作るのが難しいのはどのジャンルの曲でしょうか?
人によって違うと思いますが、私の場合は日常シーンの曲です。日常といっても色々な種類の日常があるので、それを作り分ける必要がありますし、あんまり曲がドラマチックに展開するのも考え物で、一曲を通して同じような雰囲気を続ける必要がありますが、それも結構難しいのです。
さらに、日常シーンの曲は経験不足になりやすいのです。皆さんは趣味でBGMを作ろうと思ったとき、どのような曲を作りたいでしょうか? 大半の人は感動的な曲だったり、壮大な曲だったり、あるいは迫力ある戦闘曲などを作りたいと思うのではないでしょうか。趣味で曲を作っていると、日常シーンの曲を作る機会ってあんまりないんですよね。
私の場合は美少女ゲームのBGMを担当するのが初めてだったので、ほとんど経験がないまま作ることになりました。正直やれるか不安だったんですが、できないなんて言ったら仕事がなくなっちゃうので、思い切って受けました。
人間、ちょっと背伸びして仕事を受けてから、実力を追い付かせるぐらいがちょうどいいのかもしれませんね。追い付かなかったら大変ですが、今回はなんとかなったんじゃないかと思います。
これからの仕事の話
全曲が大雑把にですが完成したので、私の仕事はとりあえず峠を越えました。これからは楽器やサンプル素材を追加し、ミックスをちゃんと行って曲のクオリティを高めていく作業が主になります。
この辺の作業はあんまり得意ではないし、好きな作業でもなかったんですが、現在制作中のOP曲が、ミックスが改善されるにつれどんどん良くなっているのを目の当たりにしており、やる気が湧いてきました。
OP曲についてはなずしろさんの記事で色々書かれるはずなので、楽しみにしていてください。
それから、曲名も決めないといけません。一応仮の題はあるのですが、ちゃんと考えようとするとなかなか難しいです。考察しがいのある曲名とか付けられたら楽しいですね。
おわりに
気づけば4000字近く書いてしまいました。自分は音楽しかやってないのに、少々書きすぎてしまったかもしれません。こんな文章をここまで読んでいただき、ありがとうございました。
私の仕事は後半戦に入りましたし、他の人の進捗も続々と上がってきていて、楽しい日々を送っています。まだ発表されていないこれらの情報を公開できる日を楽しみにしています。今後とも、みやこそふとの応援をよろしくお願いします!
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