この記事は、冬のブログリレー3日目(3回目)のものとして書かれました。他のブログはこちらからご覧ください。
1. はじめに
こんにちは、京美同のわーくん(@erogeandF1)です。
先日の学祭で京美同の会誌を買ってくださった皆様、ありがとうございました。
最近遊んで面白かったゲームはひまわり(ぶらんくのーと)です。アクアかわええ...…
今回は『9-nine-』シリーズや『さくらの雲*スカアレットの恋』のOPを手掛けているPRHYTHM VISIONが制作した『学☆王 -THE ROYAL SEVEN STARS- +METEOR』のOPについて紹介しようと思います。
2. PRHYTHM VISIONとは?
PRHYTHM VISIONは東京青山に居を構えるOP制作会社である。メインで制作しているのはアニメとかラノベとかトレカとかの宣伝広告である(BS11でアニメ見たときに流れる広告とか)。これらの宣伝広告ムービーについては今回は紹介しないので、本題のエロゲOPについて紹介する。
PRHYTHM VISIONは2012年に『魔王のくせに生イキだっ!』というエロゲのOPを手掛けたのをはじめとして様々なエロゲOP制作に携わっており、主にNanaWind、Clochette、Lump of Sugar系列の作品のOPを制作していることが多い。
本社がある場所がとってもおしゃれ。こういうところで働きたい(願望)。
3. そもそも学☆王ってどんな作品?
OPの紹介の前にこの作品の簡単な説明をする。『学☆王 -THE ROYAL SEVEN STARS-』は2012年にLump of Sugarから発売されたエロゲである。FDとして『学☆王 It's Heartful Days』、移植版としてアルケミストから『学☆王 -THE ROYAL SEVEN STARS-+METEOR』が発売されている。あらすじについては以下を参考にしてほしい。
原作OP。OP曲の『My Sweet Lady』は神曲。この曲を5時間ヘビロテしながらセンター数Ⅱ・Bの過去問を5年分解いたのは受験生活時代の良い思い出である。
原作OPはRMG(Rainbow-motion-graphics)が制作しているのでPRHYTHM VISIONの作品ではないが、こちらも素晴らしいOPである。
今回紹介するPSP版OP。こっちのOPの『My Little Glory』も大好き。
a.k.a.dRESS氏は天才。
このOPを再生時間に沿って解説する。
4. 時系列順の考察
学☆王がだいたいどんなゲームか分かったところで時系列順に映像を見ていく。
(~0:10まで)
星が太陽系の外から地球にやってくる演出になっている。シナリオに沿った演出となっており、主人公が地球にやってきたことを表している。
(0:13付近)
PSP版新ヒロインである妹以外のキャラをシルエットとして出し、新ヒロインの印象を際立たせている。シルエット活用が上手。
(0:17~0:19)
星の向こうでキスをしよう~♪という歌詞とともにメインヒロインである光莉ちゃんを表示している。kissという文字が表示されているのが口元になるように工夫がされている。
(0:19付近)
ここで使われているCGは無印の時にもあったCGである。
比較すると、学☆王原作OPの手の上にのっていたのは地球であり、学☆王PSP版のOPの手の上にのっているのは青い☆という違いが見られる。原作の手の上にのっている地球は舞台である学校、上の黄色い星は主人公を表しており、その部分が青い☆(=新ヒロイン)に変わっていることで、この世界に新たな☆(新ヒロイン)がやってきたことを印象的に表現する演出になっている。
また、この後各ヒロインを表す☆が表示されるが、この流れは学☆王原作OPでも同じであり、PSP版OPはそこに☆が一つ増えている。非常に芸が細かい。学☆王原作OPはRMG(Rainbow-motion-graphics)が制作しているので別にプリズムビジョンは関係していないが、前作のOPを踏まえたOPになっていることが良くわかる。
(0:24付近)
『学☆王 -THE ROYAL SEVEN STARS- +METEOR』というゲームタイトルを表示している場面である。原作OPのタイトル表示はピンクを基調としたデザインなのに対し、PSP版では寒色を使用して対比している。
(0:31~0:44)
学☆王の大まかな内容をまとめている。前半と後半で対比になっており、原作要素はピンク、追加要素は水色で表現されている。この表現はこの部分だけでなく全体に通底している。
これだけでもすごく対比構造について考えて作られているOPであることがわかる。実際動画の概要欄に『曲・映像ともに新ヒロイン・宙乃(CV. 井口裕香)を意識した作りとなっております』と書いてあることから、意識的に行っていることがわかる。
5. OPの視覚効果に対しての考察(妄想)
学☆王(PSP版)OPを見たときにすごく短時間で画像が切り替わっている場所があるのに気づかなかっただろうか。
具体的には3か所あり、再生時間で表すと
① 0:00付近
② 0:10~0:12付近
③ 0:22付近
の3か所で行われている。具体的に1つ1つどんな画像を並べているか見ていく。
① 0:00付近
音ハメとともにタイトルとシルエットが表示されている。
静止画にするとおしゃれだな~という印象にしか思えないが、これは高度な視覚効果に基づいた演出となっている。
文字がだんだんと時系列に沿って小さくなっているところに気づかないだろうか。これにより、動画視聴者の視点を無意識のうちに中央に寄せ、その後出てくる宙乃ちゃんのシルエットがより印象に残りやすくしている。また、残像効果を用いており、宙乃ちゃんのシルエットが次のカットに移ったときにも少し残っているように見えるような工夫がされている。
② 0:10~0:12付近
音ハメとともにこれらの映像が瞬時に表示されているが、静止画にするとみてわかる通り、この部分の一連の流れは学☆王のストーリーの流れになっていることがわかる。
一番最初のカットでは原作ヒロインと原作の世界だけであったものが、新ヒロインの登場により、ピンクの世界に青の世界(=新ヒロイン)が溶け込み、最後のカットでは学☆王というタイトルが青になっている。
たった2秒足らずでストーリー表現を音ハメと同時にやっているのである。
PRHYTHM VISIONすげぇ...…
③ 0:22付近
音ハメとともにこれらの画像が表示されており、背景カラーはそれぞれヒロインのイメージ色となっている。
キャラと同時にTHE ROYAL SEVEN STARSを出す演出は学☆王原作版OPを踏襲している。
注目してほしいのは文字部分であり、字体がヒロインの印象にあったものになっている(例 理系っ子には明朝体)。
また、原作ヒロインはTHE ROYAL SEVEN STARS、新ヒロインは逆に大きい文字で+METEORが大量に書いてある。また、このヒロインの表示順も心理学的に考察することができる。
人間は提示された情報の順序により、その物事に対する印象が変わる性質(順序効果)を持っている。特に最初に提示された情報と最後に提示された情報は頭に残りやすく、それぞれ初頭効果、親近(性)効果と言われている。
特に視覚において短い期間の間に映像を表示する際は親近効果が強くなると考えられ、最後に表示した新ヒロインの宙乃ちゃんと+METEORの印象が一番残るようになっているのではないか。
また、このOPではTHE ROYAL SEVEN STARS +METEORというタイトルの表示回数が非常に多く、冒頭45秒間の間でタイトルは13回も表示されている。PRHYTHM VISIONのOPでは背景にその作品のタイトルを表示させることが多いが、この回数はトップクラスである。
6. おわりに
最初はPRHYTHM VISIONの作品を色々と紹介しようと思っていたのですが、あまりにも学☆王PSP版OPの紹介を長く書きすぎたことを反省しています。PRHYTHM VISIONのOPとしては『恋想リレーション』OPや『宿星のガールフレンド』OPも非常に素晴らしいので、暇があれば見てみてください(布教)。
ここまで長い駄文を読んでいただき本当にありがとうございました!