京美同活動ノート

京大美少女ゲーム同好会のブログです。週1より早いペースでの更新が目標です

【7日目】今いる世界にさよならしないか? ——『ユメミルクスリ』ねこ子ルートのすすめ

この記事は、冬のブログリレー7日目(7回目)のものとして書かれました。他のブログはこちらからご覧ください。

 

kuvnlovers.hatenablog.com

 

 

はじめに

初めましての人は初めまして、初めてじゃない人には初めません。大佐(@taisa_two)です。今回の記事は2005年にrúfから発売された『ユメミルクスリ』についてです。

 

パッケージ画像。左から順にあえか、弥津紀、ねこ子。

 

核心的なネタバレはしないように書きますが、都合上後半部分も少し説明しているので、気にする人は読まずに買ってプレイしてください。というより、プレイしてもらえるのであればこんな記事を読む必要はないと思います。時間を有効活用しましょう。

 

さて、『ユメミルクスリ』には、白木あえか、桐宮弥津紀、ケットシー・ねこ子の三人の攻略ヒロインがいます。そしてこの三人のヒロインはそれぞれ問題を抱えていて、例えば白木あえかはクラスメートに陰湿ないじめを受けており、桐宮弥津紀は才色兼備ながら、刹那的にしか生きられないという欠点を持っています。

 

弥津紀とあえかのルートも刺さる人にはすごく刺さる良いルートなのですが、今回は僕がやってきた美少女ゲームのなかで最も好きなルートである、ケットシー・ねこ子ルートに絞って書いていきます。

 

透明な人のためのゲーム

さて、突然ですが、みなさんは自分の色を持っていますか? これだと漠然としているので言い換えるなら、「これが自分だ」という確固たる軸を持っていますか?

 

自信を持ってYESと答えられる人もいるかもしれません。それはとても偉いことだと思います。しかし、本作の主人公、加々見公平は自身をレールに乗った、透明な存在だと表現します。僕は『ユメミルクスリ』を、まさにそんな人のためのゲームだと思っています。

 

主人公と同じように、別に不幸というわけでもない、むしろ毎日それなりに楽しくやっている。でも時々そんな自分が"その他大勢"であることに虚しさを感じる……そういう思春期の悩みを、エロゲがやれる年齢になっても抱えてる人は結構いるんじゃないでしょうか。

 

イカれた女と夜の街

それに比べてケットシー・ねこ子は、濃い。具体的には、へんてこりんな服を着て、自分は妖精だとのたまい、繁華街を徘徊している……どう考えても頭がおかしいヤバ女だけれど、普通の人にはないものを確かに持っている。

 

妖精らしいです

 

それはなぜかといえば、アッパー系のドラッグを常用しているからです。ねこ子は単なるヤバ女じゃなくて、ヤク中のヤバ女でした。

 

普通ならこんな娘に近づかない方がいいし、関わりを持つにせよ、常識的には警察に突き出すべきです。でも、例えクスリで無理矢理作られたものだったとしても、危うさも含めて、その強烈な個性は僕のような人間を魅了してやまない。

 

皆さんも一度は「頭のおかしい女の子と、深夜の街を徘徊したい」と願ったことがあるんじゃないでしょうか? オタクは夜に生きる存在ですし、イカれた女の子が大好きですからね。その願いを、ねこ子ルートは完璧に叶えてくれます。

 

ストーンヘンジ(盗難墓石製)

 

例えば上の画像はサンプルCGから引用してきたものですが、墓石を集めてストーンヘンジを作り、その上で踊り狂っています。意味不明ですね。狂ってます。しかも冷静に考えると倫理的に問題がある、どころか多分犯罪と思われることばかりやっているんですが、不思議と許せるというか、楽しくなってくるんですよ。

 

彼女の行動に辟易しつつも振り回されてるうちに、この子と一緒なら、どこまででも行けそうな気がしてくる。それが凄く楽しいんです。

 

夢見る世界にさよならしようか

でも、結局は「気がする」だけなんですよね。そんな楽しい時間がいつまでも続くわけがない。やっぱりいつかは夢から覚めないといけない。それがクスリで無理矢理作った夢ならなおさらです。

 

結局、クスリが原因で騒動になってしまうのですが、そこでの大人達の反応を見た主人公の行動が格好いい。恐らく世間的には褒められる行為ではないんですが、自分はグッときてしまいましたね。

 

そしてその後、二つのENDに分かれるのですが、どちらもそれぞれの良さがあって素晴らしい! 二つのENDを仮にノーマルENDとトゥルーENDと名付けることにすれば、ノーマルENDの方は幻想的で美しいです。このENDの方が好きという人もよく見かけます。実際、僕も初回プレイではこちらの方が好きだった記憶があります。

 

対してトゥルーENDは、彼女の成長が感じられるENDです。特にラストシーンの会話からエンディング曲への入りが最高で、何度も思い返しては涙腺が緩んでしまいます。

 

トゥルーENDでは、当然薬物の使用は否定されるにせよ、ねこ子は否定されないところが素晴らしいと思います。結局どちらのENDでも、ねこ子ルートは、最後までねこ子のルートだった。たとえ"夢"から覚めても、そこでの大切な経験は残る。これが僕がねこ子ルートを好きな一番の理由なのだと思います。

 

おわりに

少し人を選ぶかも知れませんが、僕にねこ子ルートがクリティカルヒットしたように、『ユメミルクスリ』は刺さる人には最高に刺さるゲームです。ちょっと癖のあるヒロインが好きな人や、ダウナーなゲームが好きな人は是非やってみてくださいね!